VA11 Hall-Aプレイレビュー

※深刻ではありませんが、少しだけネタバレを含むので注意※

 

サイバーパンクバーテンダーアクション、VA11 Hall-Aをプレイしました
読み方はヴァルハラ、アクションってジャンルについてますがADVです。
かなり読み物色が強いので、英語のままだとプレイするのキツいなぁ…と思っていたら、有志の日本語MODが公開されていたので適用してプレイしました。(スクリーンショットは全て適用済みの物です)

 

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セーブなどが出来るインターバル画面、生活感のある部屋がドット絵で表現されていてとてもかわいい。

本作は、汚職や犯罪に染まったディストピア都市「グリッチシティ」の片隅で営業するバーであるVA11 Hall-A(ヴァルハラ)のバーテンダーとなって、お客さんにカクテルを提供しつつ、様々な人間模様を観察する、そんな感じのゲームです。

スクリーンショットを見ればわかるかと思いますが、キャラクターのビジュアルやデザインがかなり日本のソレに寄せて作られています。

f:id:nino01:20170625185531p:plainバーでお客さんにカクテルを出し、話をしながら物語は進んでいきます。

・ゲーム性について
ほとんどが会話パートなので、ゲームとして難易度が高かったり、知恵が必要だったりということはありません。
バーテンダーシミュレーション部分は、決められたレシピ通りに5つの材料と、二種類のオプション、そしてMIXの方法を決めるだけなので、恐らく誰でも難なく攻略は出来ると思います。
ただし、お客さんによってはなぞかけのような注文をしてきたり、いつもの!しか言ってくれなかったりするので、記憶力(メモでも大丈夫です)やレシピに書いてあるカクテルのバックストーリーから連想することが必要になる場合があります。

 

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基本的にはレシピに従って作るだけなので、簡単です。

・ゲームの評価
◎良い
 - レトロリスペクト満載なインターフェース
 - グラフィックやキャラクターが可愛い、カッコイイ
 - サイバーパンクディストピアといったワクワクする世界観
 - 公式で日本語化予定あり(Vitaで出すそうです、PCも来ないかな)

まず、とにかくグラフィックが良いです。個人的にはその1点で買いでした。出てくるキャラクターがどれも魅力的で、喋る時も表情豊かにグラフィックが変わっていくのでそれを見ているだけでも十分に楽しいです。
また、世界観が2070年代のディストピア、科学が凄まじく発展して倫理が追いついていないみたいな状態なので、そういう設定にワクワクする人はとても良いと思います。
また、ゲーム中の音楽はほぼ自由に設定できます(店内のジュークボックスに好きなBGMを12個突っ込んで再生しながら接客します)
このBGMがどれも良くできていて、プレイ中の気分を盛り上げてくれます。

△ 人を選ぶところ
 - 文章が汚い、下ネタが多い
 - ストーリーがあんまりスッキリしない
 - 全体的にボリュームはない

基本的にかなり荒れたサイバーパンクの世界観なので、可愛い女の子でも大体口が悪かったり、やたら性に奔放だったりします。めっちゃ可愛いドロシーちゃんは、あの見た目で職業が娼婦で、仕事前に呑みにきてるわけです。興奮しますね
主人公のジルちゃんはいきなり客で来た兄ちゃんに、「あんたってイく時演技したことあるか?」とか聞かれます、ほぼ終始大体そんな会話が挟まってくるので人を選ぶかもしれません。
また、本作はマルチエンディングで6種類のエンディングがあります(グッド5つ、バッド1つ、あとゲームオーバーが何個か)
5つのグッドエンディングは条件を満たしているとクリア後に後日談として流れるものなので、そこまで難しくない条件を満たしていれば全て一度で見れてしまいますのでボリューム感はありません。
また、その後日談含めすべてを見ても、なんとなく色々疑問は残ります(端々に隠された情報と想像で色々補完して楽しんでね、みたいなことみたいですね)

 

× 悪い
 - とにかく世界観の説明が少ない、会話の端々から読み取りが必要
 - カクテル作り作業が結構単調

とにかく世界観の説明が少なくて、プレイして数十分はずっと、「こいつらなんの話してんだ…」みたいな感じになってしまいます。
読み進めていくと、「ああ~、さっきのってそういうこと?」と若干理解できるようなヒント情報が色々出てくるわけですが、とにかく前提の世界観がほとんど説明されないまま話が進んでしまうので、その点については文章読むのに慣れてるかどうかみたいな所があるかもしれません。少なくとも僕はだいぶキツかったです。
また、カクテル作りパートがかなり単調なので、慣れてくると終盤はただかったるいカンジになってしまうのもちょっと残念です。
せめて提供までの速度で反応変わったりすればなぁ…なんて思ったりもしましたが、それはそれでずっと緊張するし難しいですね。
因みに、基本操作はマウスで材料をドラッグアンドドロップですが、各素材とオプションがQWERT/ASキーに対応しているので、ダレてきたらそっちを使うとストレスが多少減ります。

がっつりネタバレなので読みたい人だけ反転してください
ホワイトナイト汚職が暴かれる銀行の立てこもり事件や、二人の暗殺者を追ってる探偵、もしかして友達が犯人なのではと思わせるスーパーハッカーのアリスラビットなど、色々ワクワクする伏線がいっぱい張られているのですが、どれも投げっぱなしで結局ジルが過去の恋愛(しかもレズです)で失敗した件がなんかいい感じで解決して終わり、なんだかんだみんないい友達だよな、よかったよかった。みたいな感じで終わっちゃうのがなんかこう、え、これで終わりなのか…というカンジでした。
ボスやギルの正体もナゾのままだし、なんかこうもっとすべてが繋がって最終的に1個の事件が綺麗に暴かれて終わり、とかだったら最高だったなぁと思います。スチームのレビュー見てたら似たような感想の人がいたので、まぁこの辺は合う合わないなのかな?少なくとも僕はあんまり合わなかったです。残念。

f:id:nino01:20170625194631j:plainアンナ編(前日譚)より、こういう表現がゾクっときてとても良いです。


総評としては、人はかなり選ぶけどハマると面白いタイプのゲームです、少なくとも万人受けの神ゲーとは言えませんが、名作であることは間違いないと思います。
僕はちょっと合いませんでしたが、公式日本語版でたらもっかいやってみようと思っています(なんか悔しいので)


現在はSteamのサマーセールで1000円なので、お財布に余裕があればこの機会に買っておいて公式日本語が来るまで寝かせておくのも良いのではないでしょうか?

 

以下は物語の理解を助けるための用語解説
・VA11 Hall-A
グリッチシティにある小さなバー、世界観的に純粋なアルコール製品は出回っておらず、BTCという会社が管轄している合成酒を販売する管理店舗。VA11(店舗コード)ホールサイズA(最小)でVA11 Hall-Aという名前になっている。
合成酒はバーで取り扱う化学物質を組み合わせて作成され、ビールなどもこれにより再現される。組み合わせが失敗すると健康被害が出る可能性があるため、認定を受けたバーテンダーしかバーで酒を提供することができないし、レシピ端末も認定者しかアクセスできない。

 

リリム
所謂人型ロボット、ヒューマノイドのこと。
人工知能が発達していて、人間とほぼ同じ感じで普通に生活している。
ドロシーやキラミキ、ディールなどがこれに相当する。

 

ホワイトナイト

警察と消防とあと役所の実働部隊を組み合わせたみたいな感じの組織。基本的に町の色々なことを助けたり解決したりするのが役目だが、汚職まみれでひどいことになっているっぽい。

 

・喋る犬
首輪から音声が発せられている、犬の脳波を読み取って翻訳している。
飼い猫のフォー(フォア?)は恐らく喋ってなくて、ジルの妄想だと思われる。